商品やサービスをPRする際に最初に意識する4つの大事なポイント
こんにちはKentです。
僕がこのPRマーケッターという仕事をやっていて、強く思うことのひとつに商品やサービスの誕生で得られるものと失われるものというのがあります。
何かが生まれることというのはとても素晴らしいことです。
新商品や新しいサービスの誕生というのは人間でいう赤ちゃんのように新しい名前が付けられて(商品名)、そして素敵な服を着させられて(パッケージ)、そして生みの親玉である両親(開発者)の期待を一身に受けてデビューさせるようなことですからデビューには相当な気合が入ることだと思います。
手塩をかけて育ててきた商品であればあるほど、お金がなくたって、できれば華々しく演出をしていきたいものです。これらがマス向けの商品であればなおさらのことだと思います。
ですから、PR活動って我が子がアイドルとして人気者になれるように送り出すようなことと似ていて、その活動はと〜っても大事ことだと思っています。
で、今日は僕がそんな娘(商品)のデビューをうまく世の中に広げていく時に企業さんから頼まれて最初に何を意識しているのか?というのを4つのポイントにまとめてみました。
まず何よりも前提として考えているのは商品を知るということです。PRを行う上では最初に商品を理解するということはめちゃくちゃ大事なことです。
当たり前ですがここを飛ばしては先に進めません。しかし、たったこの4つのポイントを抑えておけば効果的にPRを行っていく素材を集めておくことができるようになります。何事も準備は大事ですのでしっかりとポイントを抑えておきましょう。
では早速その4つのポイントですが、僕の場合はこの4つを重点に意識して考えます。
・背景
・ターゲット
・ターゲットのインサイト
・商品のベネフィット
ひとつづつお話していきたいと思います。
ちょっとわかりにく言葉がございましたらグーグルでググってください。w
商品の背景
冒頭でも商品の誕生では得られるものと失うものがあると言いました。
先に失うものとは何かというお話をさせていただくと、それは商品の生まれた「背景」についてになります。
どうしても商品・サービスが生まれた時っていうのは宣伝ばかりが先行してしまいあまり商品の生まれた理由などは語られることはありません。むしろ話題にもならずに消えてゆくことのほが多い気がしています。
なので、僕がこの仕事をしていていつも大事にしていることは「背景に関する情報」です。
そもそも「背景」ってなんなのかという話ですが、まずは「時間の流れ」のことを指します。
新商品やサービスにはどこかで誰かがその「種」を生んでいると思います。
その商品が最初に思いつかれたところはどこなんだ?というところまでまずは遡ります。それはお客さんの声から生まれたかもしれないし、あるいは会社の人かもしれないし、実はタレントさんだったりするかもしれないし、偶然の副産物ってこともあります。
そして次に「人の流れ」があります。種が生まれた瞬間から商品になるまでに関与したあらゆる人たちのことを指します。
アイデアを出した人、リサーチしていた人、研究していた人、アイデアに助言した人、偶然巻き込まれた人、商品化にした人、マーケティングした人、支援する人・・・・
ざっと書いても結構な人たちがいることでしょう。
この「時間の流れ」と「人の流れ」というのをちょっとイメージしづらいかもしれませんが「背景の範囲」として考えます。
一様、僕ら(PRマーケッター)の考え方になります。
この「背景の範囲」という情報の中からPRとして使えそうな背景というのを抜き出していきます。
で、あーだこーだ議論を重ねながら、素材の中から見つけ出していくのが「ストーリー」になります。
わかりやすいもので言いますと商品、サービスが生まれてくるまでにあった「誕生秘話」だったり「感動物語」だったりというところです。
人は感情でものを買うという習性があるので商品やサービスに「ストーリー」が付加されると購買力があがります。ストーリーというのはみんなが好みますし、あるとイメージするにも記憶してもらうにもとても効果的です。
好きなブランドにはほとんどが何かしらの「ストーリー」が使われています。
ただ「ストーリー」「誕生秘話」や「感動物語」と言えば大そうに聞こえてくる人もいるでしょうが別に「へぇ〜なるほど〜」や「それあったらいいねっ!」「それ面白いかもね」くらいのニュアンスでもPRは構いません。
皆んなが知っているわかりやすい例で言えばライザップのCMでしょう。あれはとてもわかりやすい短編ストーリーで出来ていますよね。以前はあんなデブだったのにライザップに通ったら2ヶ月でこんなスタイル良くなったよというのが15秒くらいのストーリーになっています。
話を戻しますと要は背景から「情報価値のタネ」を探したり「文脈作りのヒント」というPRのネタとなるものを探すのです。
背景を知るということはPRで目指すべき「空気作りの設計」の実践に向けた第一歩になります。ですから、PRを行うときにはしっかりと商品、サービスの生まれた背景を調べると良いです。
で、この背景を把握するのはどうするのか?
ということですが背景の窄み方は「クライアントさんに聞く」という方法をとります。
徹底的に社内外の人たちにヒアリングを行います。これまでも数え切れないヒアリングを行ってきましたが、多いときは2ヶ月かけて100人程度の人に聞きます。
商品の生まれるタネまで遡り、大学の教授、専門家、お客様相談室まで追いかけたこともあります。
「そこまでやるのか?」と思われるかもしれませんがそこまでやったほうが良い結果は生まれやすいでしょう。経験上では徹底的にやればやるほど、「興味を引くストーリー」というのは生まれやすいです。
多くの方にヒアリングを行うことで戦略PRを実行していないにもかかわらず、「社内が活性化した」とクライアントさんから喜ばれることもあります。
結構、企業さんは組織がたこつぼ化しているところも多いのでこうして僕みたいなPRマンがお手伝いすることによって今まで気付かなかった情報やアイデアを発見したりして新しい事業が始まるということも珍しくありません。
ターゲット
次はターゲットの話です。
ターゲットはマーケティングにおいてもとても重要な要素です。
いろんなケースはあるもののここがふにゃふにゃしているとあらゆる施策はうまくいきません。ターゲットが明確じゃないと失敗するのは広告もPRも同じだと思います。
まずターゲットを決めるときに一番ゆるい人のパターンは「できるだけたくさんの人に知ってもらいたい」という人です。
この気持ちはめちゃくちゃわかります。が、しかしこれではターゲットを決めるとはいいません。笑
「今時、こんな設定する人いんの??」と疑いたくもなるのですが案外あります。
また「20、30代の男女」こういうのもいかがなもんかと思いますが、色々ヒアリングしていると本気でこう答える人もいます。
アフィリエイトなどは別としてもPRや広告においてのターゲット論で言えば「できれば」とか「なるべく」というのはNGワードです。
決めること自体が戦略であるので余計なスケベ心は排除するべきだと思っています。
ただ、PRは買ってほしい人たちに動いてもらいたいという目的があります。広告のように最終購買者に向けて発信するというよりかはもっと商品について話題にしてもらいたいので広告ターゲットよりかは広めにとっても構いません。
ターゲットのインサイト
広告やPRのマーケティングを積極的に行っていれば専門用語である「インサイト」という言葉を聞いたことがあると思います。
この「インサイト」というのはwikipediaで翻訳すれば「洞察」と出てきますが、これを意味するのは「人がとる行動の理由になっている本音」みたいな感じです。
昔から「人を動かすなら、まず相手を知れ!」と言いますがまさにそういうことです。
ここを正しく理解すれば、PRはかなり成功しやすくなります。
例えば明治のヨーグルトで有名な「プロビオ21」ですが戦略PRとしての関心テーマごとに「ピロリ菌はあぶない」というのがあります。
ピロリ菌に対する知識がない生活者に対していきなり「ピロリ菌はあぶないですよ!」とか「ピロリ菌対策の・・・」と言われても意味がわかりません。
しかし、「ピロリ菌は胃がんを引き起こすかもしれない原因菌で、日本人の50歳以上の人の8割がこの菌に感染しています」といった事実を伝えることができれば「もしかしたら、私もピロリ菌に侵されているんじゃないの??」と思ってもらえるかもしれません。
「ピロリ菌はヤバイ・・・倒さなきゃ!」これがインサイトです。
最終的には自分の本音になるように設計していきます。
こうやって「自分ゴトかもしれない」という状況を作り、結果商品である「LG21」への関心へとつなげてこの商品は売れていきました。
PRや広告を行う上でこのように商品ターゲットが本当に明確か?またターゲットのインサイトを本当に理解しているのか?を知るのはとても大事です。
もしすこしでも「ウ〜ん・・・」となるなら何回も考えてみるのがうまくいく秘訣かなと思います。
マーケティングはいくらでも時間と頭を使っても損はないと思うのでよく考えてみるのをお勧めします。
商品ベネフィット
そして最後、あなたの商品を知るというフェーズにおいてしっかり整理しておきたいポイントです。
それが「商品ベネフィット」です。
平たく言えば「商品のウリ」のことですがそれよりも大事なことはその商品のナニがすごいのか?どういう結果をもたらしてくれるのか?ということがベネフィットの定義になります。
PRの目的はいかに世の中と商品を結び付けるかということですが、重要なことは商品そのものではなくベネフィットにあるということです。
「うちなら任せとけ!!ウリなんていくらでもあんぜ!」
「この商品のウリはこれしかない!でもこれだけで大丈夫」
こう思っている人は危ないかもしれません。
それは単なる「思い込み」というケースが多いからです。
最初に話したように自分たちの商品は我が子です。
それを伝えたいのが「親心」です。しかし、あなたの商品にはお客様がいます。
そのお客様にとって商品は本当に意味のあることでしょうか??
例えばビール。その商品のウリはなんですか?という問いに「売上3年連続1位です。」「モンドセレクション金賞受賞です!」みたいな答えがかえってきました。
これ自体は素晴らしい実績なのでPRすることにも意味があります。
しかし、それが本当に「ベネフィット」といえるでしょうか?
本当のベネフィットとはその商品を使った先に得られるものですので、あまりモンドセレクション金賞受賞は真のベネフィットとは言い切れませんよね。
それよりも、
「ビール好き必見!何倍飲んでも二日酔いにならないクラフトビール」とか
「ビールが嫌いな子でも飲める、微炭酸、フルーティーな香りのするビール」
のほうが飲んでみたくなりませんか?
企業にとって意味があっても消費者にとって意味がないことは少なくありません。
商品からベネフィットは探せば必ず見つかります。また調べれば調べるほどいくつも出てくるようなものです。
戦略的にPRを行う場合はたくさんあったとしてもできるだけ少なく絞りましょう。
また注意するポイントとしては「思い込み」で判断するものであってはならないということと、とくに差別化できる要素をしっかり含んでいるということが大事です。
ここまでのステップで商品を知ることができたら、次のステップでは社会的にどうやって関心をつなげるかというフェーズに入っていきます。
ここまでの話を聞いて「わかりきったこと」という人もいるかもしれないが、 PRを実践するにおいて、商品やサービスの情報や背景を整理しておくことはとても大事です。
これらは僕らの考え方なんで自社で広報を行っている、もしくは行いたいというのであれば是非参考にしてもらえればと思います。