ビジネスで使える 口コミだけで繁盛させたラーメン屋の話

今日はPRの簡単なケーススタディ(事例)を紹介します。

 

f:id:rightspot:20160525135034j:plain

 

大阪府大阪市の「ラーメン屋NY」(仮名)さんは地元出身の夫婦が経営していました。

地元の醤油などの食材を使ったラーメン屋で、お味自体は醤油ベースのあっさり系で昔ながらの中華ソバといった感じ。

 

問題となっていたのはライバル店が周りに多いので他との差別化を見出さないと集客が難しいとのことでした。相談を受けた時、宣伝にはあまりお金がかけられないとのことでした。

 

僕のPRマーケティングのコンセプトは基本的にテレビから取材されて知名度、信頼を得て新規顧客獲得するというものなのですが、ご主人はこう言いました。

 

「あまり忙しくなると、サービスが追いつかなくなるので常連さんにご迷惑がかかるのが怖いので、常時8割くらい席が埋まっているのが理想です。」

 

僕はこれを聞いてあくまでお客さんのことを大事にしてらっしゃる素晴らしい方だなと思いました。

テレビ番組の取材でとくにキー局(みんながよく知っているTBSやフジテレビジョンなどのこと)から取り上げられて、お店の能力以上のお客さんが殺到して逃げられてしまうケースは珍しくありません。

 

f:id:rightspot:20160525135118j:plain

 

こういう場合はせっかくの宣伝も逆効果になってしまうのも否めません。

僕はお店の規模にあった適正な宣伝を考えるべきだと常々思っていますから、ご主人の考えに共感したんです。

 

そこで、僕は口コミだけで地道に認知度を上げていく手法を取ろうと提案しました。

 

まずお客さんの特徴を考えてみると、いつも元気良く笑顔で接客している夫婦の人間性が良い材料でした。さらにお客さんとのコミュニケーションも積極的で、カウンター越しに会話している姿が地元に密着しているここならではの特徴かなと思いました。

 

またラーメン屋には珍しいとされるようなアンティーク椅子、おしゃれな大きな球体のクリプトン電球無造作に天井から吊り下げられており少々インテリアのこだわりも垣間みえます。

 

そこで、「海外にありそうな、地元に根ずいた温かいお店」を前面に打ち出していこうと考えて、メニューをシンプル、おしゃれにするなど、イメージを演出させてもらいました。

 

次に注目したのは立地です。駅前の飲み屋街のあるところから路地を入ってちょっと行った所。決して目立つ良い場所とは言えませんが、近くに飲み屋街があるという特徴を活かして口コミを広げる戦略を考えました。

 

飲み屋は様々な人たちが集まりますし、お客さん同士の交流も密に行われているので口コミが広がりやすいです。ですから、近所のお店などで形成されているような口コミネットワークにこちらのラーメン屋の存在を乗せることができれば認知は確実に増やせると考えました。

 

そこまずはお店に出前をやってもらうことにしました。

夫婦だけで慎ましくやっているお店ですので、本来はとても手が回らないのですが、奥さんに頑張ってもらいました。近所の飲み屋さんのスタッフの方からの注文だけで、しかも期間限定で、出前を始めたのです。

 

狙い通り、お店の存在はたちまち街で知られるようになり、お店は飲み屋帰りのお客さんやまた従業員さん、そして新しいお客さんまでも来てくれるようになりました。

これは奥さんが笑顔で頑張って重たい出前のラーメンを運んでいる姿が印象的だったからです。

 

やがて、お店の存在が飲み屋さんを訪れるお客さんの心を射止めて人から人へ広がり「地域に根ざしたおしゃれなラーメン屋」として認知されていきました。

 

店主はこの後も大手雑誌の取材やテレビからの取材は断っていました。しかし、唯一「飲食のプロが行くお店」としていつも聞いていたラジオ、コミュニティFMの取材だけ受けたのです。これがまた程よい集客効果を生み出しいつも8割程度が埋まっている状態になりました。

 

つまり、ご夫婦の人間性の良さ、地域密着、飲み屋街の近くという特徴を活かしてほぼ口コミだけで成功しました。

 

お店の特徴を活かして口コミだけでも繁盛させることは可能です。

今後もお店の規模にあった施策をどんどん投入していき「地域一番の愛されるお店」に進化していくことでしょう。

 

f:id:rightspot:20160525135259j:plain